北海道北見市 司法書士 森谷 崇継(もりやたかつぐ)のブログ

北海道北見市 司法書士 森谷 崇継(もりやたかつぐ)です。相続や登記、司法書士業務について発信します。

意思能力

司法書士 森谷崇継(もりやたかつぐ)です。
北海道北見市にて司法書士を生業にする者です。

 

”意思能力”という言葉を知っていますか?

意思能力とは、”法律行為における自己の行為の結果を判断することができる能力”のことです。

 

売買契約や相続手続きにおける「遺産分割協議」も法律行為にあたるため、意思能力が必要となります。意思能力がない者が行った行為は”無効”となります。無理やり書類を整えて登記申請を行ったところで”有効”に裏返ることはなく、無効です。

登記を通そうとも、損害賠償や原状回復の話に切り替わるだけです。

 

意思能力を有しない者の例としては、泥酔者や幼児、重度の精神障害者などがあげられます。また、よくあるケースが認知が衰えてきた高齢者も、程度次第では意思能力を有しません。当然ですよね?家族の名前が分からなかったり、「うん」しか言葉を発さない人が自己の行為の結果を判断することができる能力”を有するとは言えないですよね。

 

問い合わせの中で、”親が不動産を売却する/親から不動産を譲り受ける”とか”遺産分割協議は整っている”と話を受けたものの、その親が認知症だったり相続人の中に認知症の人がいたりで結局手続きを進めることが出来ないパターンは往々にしてあります。

 

上記の通り意思能力を有しない者は法律行為を行うことが出来ません。

権利の得喪(誰かが得て、誰かが失う)には、必ず当事者がいます。

その当事者の意思能力が必要なのです。

家族だから、親族、知り合いだからと勝手に意思を決定して、権利を動かすことは出来ません。

 

司法書士は職責上当事者の本人/意思確認を行いますが、決して医療従事者でもなければ鑑定医でもないので意思能力の判断なんてものの素養はありません。

懲戒処分や裁判所の判断では、司法書士に意思能力の判断の責任を問うことが度々見受けられますが、とても理不尽なことだと思います。

勿論、司法書士は、国民の権利を擁護する使命を負っているわけで、最低限の確認義務は課せられていると考えますが、具体的な判断について責任を課することは出来ないと考えます。そのくせ、仲介業者や取引に関わった関係人にはお咎めなしのようで、まったもって不思議な裁定を行っています。

だからこそ、司法書士は自分を守るために、案件に高齢者や認知症のワードが絡むと急に身構えます。国や司法書士制度が司法書士を守ってくれないなら、自衛するわけです。

 

司法書士は細かくてうるさいなぁ」と思う人がいるかもしれませんが、その理由はここにあります。結果的に有効な手続きの完了を担保しているともいえます。

 

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